化学的性質

1. 耐薬品性

ルミラー®の耐酸性はきわめてすぐれており、沸騰点の弱酸や常温付近の強酸にはほとんど侵されません。
耐アルカリ性は普通であり、弱アルカリには耐えるが強アルカリには劣化します。なお、アンモニアによりアンモノリシスをうけて劣化するので、注意しなければなりません。
また、有機溶剤、油脂類に対しては一般にきわめて耐性があり、とくに無極性物質にはほとんど作用を受けません。
ルミラー®を各種の化学薬品に常温で5、10、20日間浸漬した場合、また100°C(沸点100°C 以下の液体ではその沸点)で、1、3、5時間浸漬した場合のルミラー®の引張り強さの変化を測定し、それぞれ未処理物の強さを100%として強さ保持率で示すと、第1表および第2表のとおりです。測定に用いたサンプルの厚さはいずれも# 25(25μ)です。
ルミラー®のとくに作用をうける有機溶剤、油脂類は第3表に示すとおりです。
なお、ベンゼン、アルコール、フレオン、四塩化炭素などに浸漬したルミラー®の耐電圧は、浸漬前のそれと差異がありません。

第1表 ルミラー®の耐薬品性(30°C、5, 10, 20日間)単位:%
薬品 浸漬日数 概評
5日 10日 20日
氷酢酸919091
35%(濃)塩酸978584
18% 塩酸1009492
60%(濃)硝酸000不可
35% 硝酸1009287
80% 硫酸000不可
70% 硫酸10010092
60% 硫酸1009199
20% 硫酸929290
10% カセイカリ978260不可
10% カセイソーダ74470不可
10% 炭酸ソーダ10099100
28%(濃)アンモニア水000不可
12% アンモニア水94570不可
アセトン979498
酢酸エチル999091
ベンゼン819091
キシレン949393
四塩化炭素10091100
四塩化エタン9191100
クロロホルム989697
フレオン(45°C)10093100
第2表 ルミラー®の耐薬品性(100°C、1, 3, 5時間)単位:%
薬品 浸漬日数 概評
1 hr. 3 hr. 5 hr.
氷酢酸989497
20% 塩酸10010096
10% 塩酸100100100
30% 硝酸8800不可
20% 硝酸10010098
10% 硝酸10010096
70% 硫酸83420不可
60% 硫酸100100100
40% 硫酸100100100
20% 硫酸100100100
10% カセイカリ6200不可
10% カセイソーダ6100不可
10% 炭酸ソーダ939588
12% アンモニア水948297
アセトン918788
酢酸エチル959289
ベンゼン100100100
キシレン9810099
四塩化エタン848584
エタノール10010099
第3表 ルミラー®のとくに作用をうける有機溶剤、油脂類
作用 薬品
溶解作用をうけるもの 熱メタクレゾール
オルソクロロフェノール
ニトロベンゼン
膨潤作用をうけるもの 安息香酸
サルチル酸
フェノール
モノクロルベンゼン
パラジクロルベンゼン
テトラヒドロナフタリン
安息香酸メチル
サルチル酸メチル

2. 有機溶剤による抽出成分率

ルミラー®をキシレンあるいはクロロホルムによって抽出したとき、抽出されるルミラー®の成分率は表4に示すとおりです。

表4 ルミラー®の有機溶剤による抽出成分率
薬品 抽出成分率
(%)
測定に用いた
サンプルの厚さ
測定法
キシレン 1.2 #25(25μ) 110°Cで18時間乾燥後、キシレンのB.P. (140°C)で24時間抽出
クロロホルム 0.6 #100(100μ) 120°Cで2時間乾燥後、クロロホルムのB.P. (61°C)で 12時間抽出
0.4 #188(188μ)

3. 水による抽出液の導電度と酸度

ルミラー®を水によって抽出したときの抽出液の導電度および酸度は表5に示すとおりです。測定に用いたサンプルの厚さはいずれも#75 (75μ)で測定法は ASTM D 202 - 68 です。

表5 ルミラー®の水による抽出液の導電度と酸度
性質 特性値
導電度 4μʊ/cm
酸度 0.001

ルミラー®テクニカル情報