物理的熱的性質

1. 一般物理的性質

ルミラー®の物理的性質を表1にまとめて示します。
測定に用いたサンプルの厚さは、いずれも#25(25μ)です。

表1 ルミラー®の一般物理的性質
性質 測定値 単位 測定法
密度 1.40
(1.390 〜 1.408)
g/cm3 JIS K 6760 - 71
(n – ヘプタン、CCI4)
融点 263 °C Heating Stageつき
マイクロスコープで観察
比熱 0.32 cal/g/°C  
熱伝達率 3.36 × 10-4 cal/cm・sec・°C  
湿気膨潤係数 1.2 × 10-5 cm/cm/%RH  
熱膨張係数 1.5 × 10-5 cm/cm/°C ASTM D 696- 70
光屈折率 1.66   ASTM D 542 - 70
(Abbe、20°C)
光透過率 85 % JIS K 6714 - 58

2. 吸湿率の相対湿度による変化

ルミラー®を低湿度から高湿度までの湿気にさらしたときの吸湿率の変化は、図1に示すとおりです。
測定条件は25°Cです。

図1 ルミラー®の吸湿率の相対湿度による変化

3. 各種品番の吸水率

各種品番のルミラー®を20°Cの水中に24時間浸漬したとき、および100°Cの沸騰水中に2時間浸漬したときの吸水率は、図2に示すとおりです。
測定法は、Federal Test Method Std. NO. 406 Method 7031 です。

図2 ルミラー®の吸水率の品番による変化

4. 乾燥曲線

ルミラー®を120°Cで平衡状態になるまで充分乾燥し、次いで常温80% RHあるいは、常温で常湿の雰囲気中に同様に充分平衡状態に達せしめてのち、120°Cで乾燥したときの重量変化率の時間的変化を#75(75μ)および#188(188μ)について測定した結果は、図3に示すとおりです。

図3 ルミラー®の乾燥曲線

5. 湿度寸法安定性

ルミラー® を低湿から高湿までの湿気にさらしたときの寸法変化率は、図4に示すとおりです。
ルミラー®の湿気膨潤係数は、図4より算出すると次のとおりです。
1.2 × 10-5 cm / cm / %RH

図4 ルミラー®の湿気による寸法変化

6. 熱寸法安定性

常温付近から100°C付近までのルミラー® #50(50μ)の寸法変化率は、図5に示すとおりです。
ルミラー®の常温付近における熱膨張係数は、次のとおりです。
測定法は ASTM D 696 - 70である。
MD(縦方向):1.2 × 10-5 cm / cm / °C
TD(横方向):1.6 × 10-5 cm / cm / °C

図5 ルミラー®の比較的低温による寸法変化

7. 各種品番の熱収縮率

ルミラー®の各種品番の150°C、2時間の熱収縮率は、表2に示すとおりです。
測定法は JIS C 2318 - 72で読取顕微鏡を使用しています。

表2 ルミラー®の各種品番の熱収縮率
厚さ MD(縦方向) TD(横方向)
品番 μ
#661.61.2
#991.51.2
#12121.30.2
#16161.50.5
#25251.31.0
#38381.30.4
#50501.20.2
#75751.20.3
#1001001.20.3
#1251251.20.7
#1881881.30.7
#2502501.20.7
#3503501.20.7

8. 熱収縮率の温度による変化

#50(50μ)のルミラー®の90 〜 190°Cの温度における熱収縮率は、図6に示すとおりです。
測定法は JIS C 2318 - 72です。

図6 ルミラー®の熱収縮率の温度による変化

9. 各種品番の水蒸気透過率

ルミラー®の各種品番の水蒸気透過率を表3に示します。
測定法は JIS Z 0208 - 73で測定条件は40°C、90%RHです。

表3 ルミラー®の各種品番の水蒸気透過率
厚さ 水蒸気透過率
品番 μ g / m2 / 24hr / 0.1mm
#664.5
#12127.5
#25256.9
#38385.3
#50508.8
#75759.2
#1001006.3

10. 水蒸気透過率の他種フィルムとの比較

ルミラー®は各種プラスチックフィルムの中でも、非常に小さな水蒸気透過率を有します。
比較のため、各種プラスチックフィルムの水蒸気透過率を表4に示します。
ルミラー®はポリエチレンフィルムと同程度の透過率を示します。
測定法は JIS Z 0208 - 73で、測定条件は40°C、90% RHです。

表4 各種プラスチックフィルムの水蒸気透過率
フィルム サンプル厚さ 水蒸気透過率
μ g / m2 / 24hr / 0.1mm
ルミラー®256.9
トレファン® BO *221.2
高圧法ポリエチレン305
延伸ポリカーボネート2535
軟質ポリ塩化ビニル3523
延伸塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体301.5
ポリビニアルコール20240
セルローストリアセテート135410
防湿セロファン3211
  • 東レ二軸延伸ポリプロピレンフィルム

11. 気体透過率の他種フィルムとの比較

ルミラー®の気体透過率は各種プラスチックフィルムの中でも非常に小さく、食品などの包装用にすぐれた性質を示します。比較のため、各種プラスチックフィルムの酸素、窒素、炭酸ガスの透過率を表5に示します。
測定法は ASTM D 1434 - 72で、測定条件は25°Cです。どのフィルムの場合にも透過率は大きい方から炭酸ガス、酸素、窒素の順になっており、その比率は3 〜 5、1、1/6 〜 1/3です。

表5 各種プラスチックフィルムの気体透過率 単位:cc(NTP)/ m2 / 24hr / 0.1mm / atm
フィルム 気体透過率
酸素 窒素 炭酸ガス
ルミラー® 19 4.2 74
トレファン® NO *1 860 160 2670
トレファン® BO *2 400 84 1300
高圧法ポリエチレン 2000 720 8900
低圧法ポリエチレン 520 180 2270
延伸ポリスチレン 1140 180 5640
延伸硬質ポリ塩化ビニル 24 5.1 63
延伸塩化ビニル、塩化ビニリデン共重合体 17 - 91
  • 1 東レ無延伸ポリプロピレンフィルム
  • 2 東レ二軸延伸ポリプロピレンフィルム

12. 有機溶剤蒸気透過率の他種フイルムとの比較

ルミラー®と各種プラスチックフィルムの有機溶剤蒸気透過率を表6に示します。
測定法は JIS Z 0208 - 73で、測定条件は40°Cです。

表6 各種プラスチックフィルムの有機溶剤蒸気透過率 単位:g / m2 / 24hr / 0.1mm
フィルム 有機溶剤蒸気透過率
アセトン エチル
アルコール
トルエン エチル
アセトン
n – ヘプタン テトラクロロカーボン
ルミラー® 0.77 0.42 0.50 9.70 0.69 0.71
トレファン® NO *1 29.0 2.20 1300 216 1440 4540
トレファン® BO *2 1.02 1.02 661 85.5 865 2020
高圧法ポリエチレン 202 19.1 1080 457 1540 4670
延伸硬質ポリ塩化ビニル 4330 0.44 611 2220 0.52 0.27
延伸塩化ビニル、
塩化ビニリデン共重合体
512 0.39 358 493 0.45 8.1
  • 1 東レ無延伸ポリプロピレンフィルム
  • 2 東レ二軸延伸ポリプロピレンフィルム

13. 耐熱劣化安定性

ルミラー®は非常にすぐれた耐熱劣化安定性を有しています。
ルミラー®の最高使用可能温度は、一般的にいえば150°Cです。かなりの長期にわたるときは 130°C以下で使用されることが好ましい。
ルミラー®の代表的な温度における加熱処理後の引張強さおよび伸びは、加熱処理時間とともに、図7および図8のごとく変化をします。
測定に用いたサンプルの厚さはいずれも#38(38μ)です。

図7 ルミラー®の引張り強さの加熱処理時間による変化
図8 ルミラー®の引張り伸びの加熱処理時間による変化

14. 耐熱寿命

ルミラー®の初期の引張り強さおよび伸びを100%とし、それが10%および50%に低下するまでの時間、すなわち寿命の温度による変化を図9および図10に示します。
測定に用いたサンプルの厚さはいずれも#50(50μ)です。

図9 ルミラー®の引張り強さの耐熱寿命
図10 ルミラー®の引張り伸びの耐熱寿命

ルミラー®テクニカル情報